核兵器は「反イスラム」だったのに… トランプ氏のイラン攻撃という愚かな決断に悶える日々

愚かな指導者の愚かな決断に悶々としています。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃です。イランの現体制を肯定はできないけれど、殺害されたハメネイ師が核兵器について語っていたことを聞くとモヤモヤがさらに募ります。
森達也 2026.03.12
サポートメンバー限定

もやもやする。悶えている。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まった2026年2月28日以降、ずっともやもやしながら悶え続けている。

theLetterにおける僕の担当は、朝日新聞国際報道部でテヘラン支局長だった杉崎慎弥だ。つまり中東情勢については専門家。それも学者や研究者とは違う。実際にテヘランで3年も生活していた杉崎は、多くのイランの友人と知り合い、イラン国内の様々な現場で取材を重ねてきた。

その杉崎と飯田橋の居酒屋で飲んだ。最初は互いに生ビール。途中から僕はホッピー。杉崎は日本酒熱燗。ゲバラ一回目の反響は? 今後は何を書こうか。そんな話から始まって、熱燗が入ったぐい飲みを手にしながら杉崎は、「核兵器保持を否定していたハメネイ師が殺害されたから、今後イランの核戦略がどう変わるかは予断を許さないですね」と思いついたように言った。

「……ちょっと待って。いま何と言ったの」

「予断を許さないですね」

「その前」

「核兵器保持を否定していたハメネイ師が殺害されたから」

「ハメネイは核兵器保持を否定していたの?」

ハメネイ師の公式HPから

ハメネイ師の公式HPから

「そうですよ。特に2000年代初頭から繰り返し、アリ・ハメネイ師は「核兵器の開発・保有・使用は反イスラムである」というファトワを出しています。核兵器の製造と備蓄は誤った行為であり、さらに核兵器の使用は禁忌にあたる、と明確に述べています」

「知らなかった」

核兵器は「禁忌」、その意味とは

僕は半ば唖然。こんな大事なことを知らなかった。だってファトワとは、イスラム法学の権威(ムフティー)が、個別の具体的な問題に対してシャリーア(イスラム法)に基づいて出す法解釈のこと。特にイランにおいてハメネイは、信仰においても政治においても最高指導者の位置にいるのだから、そのファトワの権威は絶大なはずだ。沈黙する僕に杉崎は言った。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、3516文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
「反ユダヤ主義」という言葉が覆い隠すもの イラン攻撃、ガザで露わになっ...
読者限定
人間臨終考2026~チェ・ゲバラ(後編) 民主主義が独裁を促進する
読者限定
人間臨終考2026~チェ・ゲバラ(中編) なぜ日本人の多くは…
読者限定
人間臨終考2026~チェ・ゲバラ(前編) だって海や空は繋がっている
サポートメンバー限定
変わらない日本の政治、自民党って何だろう?  情報弱者の僕が衆院選で抱...
読者限定
人間臨終考2026~ブッダ(後編)「生」と「死」と「信仰」と
読者限定
人間臨終考2026 ~ブッダ(前編)「中道」の本質とは
読者限定
NHKが選んだ「暗さ」は何を映すのか 「ばけばけ」からメディアの存在意...