核兵器は「反イスラム」だったのに… トランプ氏のイラン攻撃という愚かな決断に悶える日々
もやもやする。悶えている。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まった2026年2月28日以降、ずっともやもやしながら悶え続けている。
theLetterにおける僕の担当は、朝日新聞国際報道部でテヘラン支局長だった杉崎慎弥だ。つまり中東情勢については専門家。それも学者や研究者とは違う。実際にテヘランで3年も生活していた杉崎は、多くのイランの友人と知り合い、イラン国内の様々な現場で取材を重ねてきた。
その杉崎と飯田橋の居酒屋で飲んだ。最初は互いに生ビール。途中から僕はホッピー。杉崎は日本酒熱燗。ゲバラ一回目の反響は? 今後は何を書こうか。そんな話から始まって、熱燗が入ったぐい飲みを手にしながら杉崎は、「核兵器保持を否定していたハメネイ師が殺害されたから、今後イランの核戦略がどう変わるかは予断を許さないですね」と思いついたように言った。
「……ちょっと待って。いま何と言ったの」
「予断を許さないですね」
「その前」
「核兵器保持を否定していたハメネイ師が殺害されたから」
「ハメネイは核兵器保持を否定していたの?」

ハメネイ師の公式HPから
「そうですよ。特に2000年代初頭から繰り返し、アリ・ハメネイ師は「核兵器の開発・保有・使用は反イスラムである」というファトワを出しています。核兵器の製造と備蓄は誤った行為であり、さらに核兵器の使用は禁忌にあたる、と明確に述べています」
「知らなかった」
核兵器は「禁忌」、その意味とは
僕は半ば唖然。こんな大事なことを知らなかった。だってファトワとは、イスラム法学の権威(ムフティー)が、個別の具体的な問題に対してシャリーア(イスラム法)に基づいて出す法解釈のこと。特にイランにおいてハメネイは、信仰においても政治においても最高指導者の位置にいるのだから、そのファトワの権威は絶大なはずだ。沈黙する僕に杉崎は言った。